学問

我々が我々である理由 -サイズの生物学が見据える地平

サイエンス系では言わずと知れた名著「ゾウの時間 ネズミの時間 -サイズの生物学」を読んだ。多種多様な生物たちが何故今のような大きさと構造を持つに至ったかを、大胆な仮説と数々の実験結果を交えて説明している。「だから彼らはそのような大きさになった…

科学の変遷と、その表れ

トマス・クーン「科学革命の構造」を読んだ。 1962年に著されてから現代に至るまで大きな反響を呼び、科学哲学の発展に大きく寄与した、世紀の古典である。 科学の進歩とは、我々人間の叡智が自然の「真理」に累積的に近づいていく過程である。 近代の科学の…

ゼミ備忘

・目的はどこにあるか。 その作業によって、何を検証し、何を主張しようとしているのか。・語尾を言語化する。 何が聞きたいか。

分類と構造

博物学的な意味における分類は、確かに構造主義と密接に繋がってるね。リンネの植物分類は、種・属というフィルターを通して植物の存在そのものを決定してしまった。分類するという行為は、このように対象の存在そのものを定義してしまう力を持っている。 そ…

国による建築の差異は何を意味するか

日本の建築 中国の建築 スペインの建築 どの国をとっても、街並みや構造物には、その国の”カラー”がある。 それは、地理的な要因だけではなく、大きな歴史の流れの中で育ってきた哲学や宗教を色濃く反映したものとなる。という事を、設計事務所で働く友達が…

生命についての教え

トルストイ「人生論」を参照 人間のうちにある生命の矛盾 ・自分は幸福を渇望する一個体に過ぎず、ゼロサムの幸福を求めてその他大勢との絶え間ない闘争の中に身を置かなければならない ・目の前の幸福を捉えようとしても、苦悩を伴う一時の快楽が得られるに…

エスノセントリズム

Richard Rorty 自文化中心主義(ethnocentrism)出発点は必ず自分が正しいと思っている事であり、そのフィルターを通して世界を捉えていく。ただし、世界を認識する過程において自文化は変わりうるし、自らの考えが間違っていたと気付くこともある。 世界を…

世界を知る努力を闇に葬り去る理論

科学におけるある種の理論や、哲学におけるある種の思想は、我々が真理を探究する事を放棄させるような魔力を持っている。 それらは、こう示唆したり、暗示する。「世界のすべては不可知であり、いかなる客観的事実も存在し得ない」 と。 哲学的な議論のレベ…

マキャヴェリの「君主論」

って、個人的な経験・観察に基づいてるみたいだけど、すっごく似てるよね。「韓非子」に。孔子が著した、かの有名な「論語」の思想は、”徳を以て治める”であり、性善説に基づいていた。それとよく比較されるのが韓非子の「韓非子」。 こちらは性悪説に基づい…

人間の本質は構造である。

人間とは、ルールを守るもの。人間の本質は、内部発生的な思想や自由意思によるものではなく、社会的に規定されるもの。ポスト人間主義の時代に、神はいない。 歴史から正解を判断する事もない。

俳句の意味表現

対象となる言語を咀嚼し、意味で充填するヨーロッパ的な解釈では届かない。解釈を自制する事によってのみ開示される美的価値。”言葉を惜しむ” 日本語に、俳句だけに備わった思想。意味の根源に触れる。

社会学は何だったらできるのか。

himaginaryの日記:社会学に何を求めるか?というブログエントリを見ていてふと思った事がある。 反実証主義の立場を我々が取り入れたものとしよう。つまり、社会学は自然科学をモデルとすべきではないし、社会現象には自然現象に特徴的な均一性や一貫性を期…

デカルトの方法は正しいか。

「方法序説」においてデカルトが主張した原理は、方法的懐疑によって全てが不確かとなった中でも、疑いを発している我が存在する事自体は疑いえない真理である、というものだった。デカルトは、この「序説」以降現在に至るまで、人間が世界と向き合う態度に…

修士課程で良い研究をする方法

あるいは、”修士課程の学生が社会的に付加価値の高い研究をすることが難しいのはなぜか”※本家より転載 これまで、修士の研究/論文を数多く見てきた。 それと同時に、各学問分野の最前線で活躍しているプロの研究者の論文も、それに劣らず見てきた。そして思…

構造って、そういうことだったのね

「構造」とは、要素間の関係性に基づいてそれぞれの要素の意味が決定されている体系の事を言う。関係性とは、例えば”差異”。他の要素とは異なる意味である事によってその要素の意味が(一意的に?)決定する。 よって、「構造化する」とは、その体系が含む要…

修論がうまく書けない理由

修論を書く学生に欠けているもの、思考能力、経験、対象分野に関する知識など様々あるが、その筆頭がこれ。科学哲学に関する知見、もしくは対象分野の思想的基盤そもそも、ストーリーラインを上手に構築することが出来てないのだ。これについての知見と熟考…

チョムスキーはアインシュタインの夢を見るか?

ふと思った。生成文法は、その後どうなったんだろうか。 断続的に付け加えられる例外の海の中でおぼれ死んでしまってはいないのだろうか。生成文法は、言語生成のメカニズムを1つの物理モデルのようなものとして捉え(数学的な公理・定理とは決定的に異なる…